藍色細菌・シアノバクテリア(藍藻)


熱帯魚を趣味とされている方、特に水草が多く植えられ美しくレイアウトされた水槽を目指す方達には忌み嫌われる藍藻(らん藻)ですが、この生物は地球上の酸素の大部分を作り出したエライ生物なのです。(笑)

現在では、細菌の仲間(=バクテリア・原核生物)とされていて、藍色細菌シアノバクテリアといわれ、他の細菌とは違う独立したグループと考えられている様です。以前は、一般で使われている『 藍藻 』が示すように藻類の仲間と考えられていました。

加えて、pHに見る『濾過の状況』にてチラッと触れていますが、初めて酸素を副産物として生じる光合成を行いだした生物・シアノバクテリア(=藍藻)が、元々、独立した生物でありながら、他の生物に食べられたり取り込まれる内に共生関係を結ぶようになり葉緑素と成った、と考えられています。

また、体内時計を持つ最小の生物としても有名で、空気中の窒素固定能力など、様々な分野で研究されたり有効利用を期待されている興味深い生物でもあるのです。

そんな不思議な『 シアノバクテリア 』ですが、こと水槽の中では厄介者として名を馳せていて、窒素ガスを取り込みアンモニアを生産する(窒素固定)事に由来しそうな独特の臭気、瞬く間に水槽全体に蔓延る繁殖力、黒ずんだ色彩(種類により色は異なります)、なかなか駆除できない抜群の生命力が、いっそう嫌われる原因になっています。

一方、高等植物に比べれば遙かに少ない光量で光合成でき、水中の硝酸塩を効率よく吸収する事(pHは急上昇)からも、水中の浄化には役立っていそうですが、種類によっては毒性を持つ様で、なかなかシアノバクテリア(=藍藻)を食べる生物がいないのも、体内にあるであろうアンモニアや、この様な理由によるものなのかもしれません。ただし、色揚げ用としてエサに混ぜられることのある『スピルリナ』もシアノバクテリアの仲間だったりするので、一概には言えないところです。(水を緑色に変えてしまう『アオコ』も浮遊性のシアノバクテリア。)

さて、シアノバクテリアが増えやすい水槽にはそれなりの原因がありそうです。元々、自然界にはありふれた生物でもあり、他の生物が成育できない過酷な環境にも適応する種類もいて、実は水槽以外でも色々な場所で見られることを知っておいて下さい。

水槽内には、水草を始め、色々な流入経路が考えられますが、まず水道水にも含まれていると考えてよいでしょう(水源の水質汚染が著しい場合に、多量に使用される次亜塩素酸ナトリウムのカルキ臭と共に、水道水のカビ臭が問題にされますが、シアノバクテリアに由来する臭いなんだそうです)。ですから、仮に、網(ネット)等の人力で完全に取り除く事ができたとしても、水換えにより入るので根絶には至らず、また発生してしまう事になります。

シアノバクテリアが増えやすい水槽とは、底砂を敷いていないベアタンクや、リング状の濾材(目の粗い濾材)を多用している濾過槽、底砂や濾過器の目詰まりを生じている水槽である事が多く、本来なら、他の生物に食べられたりする食物連鎖が働いて、蔓延ることの無いようにバランスが取れていれば問題ないのです。水槽セッティング初期に、エサを多くやり過ぎたりすると白濁したりしますが、白濁の原因である爆発的に増えた細菌(バクテリア)が、その後、それらをエサとして食べる原生動物(ツリガネムシやゾウリムシ等)の増加と共に透明感を増し、以後、よほどの事がない限り白濁を生じる事は無いでしょう。

ですから、不適当な底砂や濾材が為に原生動物が増え難く、バランスの取れない水槽のセッティングを見直して、バイオマス(生体量)をある程度以上に保つよう、それらの基質(棲処・すみか)となる底砂や濾材の、種類(サイズも重要)や量を考慮しなければらならないのです。

活性汚泥・腐植

この矢印で示してある汚泥は、珪藻(植物性プランクトン・茶ゴケ)や、その残骸、原生動物や極めて小さい細菌の固まり(活性汚泥・腐植)といえ、これらを神経質に取り除いたり、溜まらない様、底砂を敷かないベアタンクでは、先に述べた様にバイオマスが乏しく、新たに進入してきたシアノバクテリアの増加を防ぐことができないのです。

同様に、新たに持ち込まれた魚が病魚であった場合などでは、病原生物(主に細菌)の増殖を防ぐ能力も乏しいので、先住魚も発病しやすい環境といえるでしょう。

さて、一般的にシアノバクテリアを駆除する為にどのような方法が取られているかといえば、他の状態の良い水槽から、底砂や濾材に溜まっている『汚泥』を入れるものがありますが、確実とはいえないものの、それなりに効果が得られる場合が少なくありません。ただし、せっかく入れた汚泥(微生物群)が有効に働ける環境を先に整えておく必要(底砂や濾材の改善)があります。

冒頭で、シアノバクテリアは藻類とは異なると申しましたが、植物細胞の特徴であるセルロースの細胞壁や珪藻に見られる珪酸でできた殻を持たず、真核細胞の特徴である核も持ちません。

ですから、抗生物質で効くもの(グラム陰性の細菌に効果がある種類)もありますが、一般的には入手も難しいし勧められるものでもありません。

また換水を頻繁にするなどして窒素分を低く抑えると良いとも言われていますが、水中に窒素分が無くても気体としての窒素を固定する能力を持ち併せた驚異的な生物でもあるので決め手にはなりません。反対に、原生動物の激減を招くことに繋がりかねないので注意が必要です。

むしろ、シアノバクテリアが蔓延る事で水中の窒素分が激減し、水草の肥料としても不可欠な窒素分の枯渇が水草の生長を止めるほどまで進んでしまうといえるのではないでしょうか?

本来、私の立場からすれば、こういった商品を販売せねばならないのでしょうが、余計なモノを入れてはならないとする考えから、それも許せません。(笑)

シアノバクテリアに対して効果があるとする薬剤の多くは過○○○○水で、先に挙げたように他の植物プランクトンに比べ鎧を持たないので効果が得られるのでしょう。もちろん、他の生物に対する影響も考えられるので注意して使用しなければなりません。

さて、原因や一般的な駆除法について話をしてまいりましたが、ダメだと解っていても底砂を敷きたくない等というワガママな要求に応えなければならないのも私の仕事(笑)。

最も安全性の高く一定の効果が得られる方法としては、流水殺菌灯の使用が最右翼でイニシャルコスト(設備費)は掛かるものの、外部パワーフィルターや水中ポンプと接続して、調子の崩れた水槽に使えるように独立させておくと良いでしょう。

流水殺菌灯は、入門書本文中で伏せている文字の大部分を占めるのですが、外部寄生虫をシャットアウトできるので白点病やウーディニウムなど、様々な疾病を防いだり治療にも用いる事ができ、健康な魚さえ手に入れられれば、熱帯魚飼育を飛躍的に向上できるキラーアイテムでもあります。

フェアリーズでは、流水殺菌灯に加え、pH を4台(できれば4.5以下)に保つ事を併用し、顕著な効果が得られているので、コレを対策として用いていますが、当然、水槽内の生物がその pH に耐えられる種類でなければ死んでしまいますから、pH を下げる前に、耐えられない種類は別水槽に避難させる必要があります(別水槽・ベアタンクで流水殺菌灯使用)。

◎必ず、事前に水槽内にいる生物の下限を把握した上で pH を下げるようにしましょう◎pH ペンの特性にも注意◎



ある相談例を挙げて、具体的に説明してみましょう。


水槽は30×30×30のキューブです。
水槽の大きさはあまり関係がないのですが、大きい方が環境を安定させやすいのは事実でしょう。

底砂は無し。スポンジフィルター1つ。
シアノバクテリアの増えやすい典型的な水槽と言えるかも…。理由は上述の通りです。スポンジフィルターは、目詰まりしやすく、かつ、シアノバクテリアを濾過して原生動物たちに食べられやすい環境を提供できる構造ではありません。(目が細かすぎる・反対に、リング状などの大きすぎる濾材だけだと、引っ掛からない)

小さめの流木2つにアヌビアスナナとミクロソリウムがそこそこ貼り付いてます。
トリミングを簡便にするために成長の遅い植物だけだと、富栄養化により藻類が増えやすい環境になりますので、成長の早い水草も取り混ぜて植える方がバランスを維持しやすいですから、ウォータースプライト等をお勧めします。

水換えは10日に1回くらい。
水換えは、入門書本文中に書いてある理由により、 pH を基準に行う事で、シアノバクテリアが発生したり病気が出てしまった時にも pH による駆除や治療を行いやすく、漠然と換えるより楽チンで魚達にとっても良い事が多そうです。

水換え時はカルキ抜きとテトラアクアセイフを入れてます。
アクアセイフは、効能にも疑問が多く、フェアリーズでは全くといってよいほど使用しません。pH の緩衝能力(中性に保つチカラ)が強く、pH に影響を与えるモノを極力つかわないようにしなければ、pH による管理が無意味になってしまいます。

餌は1日1回テトラプランクトンを微量。
食べ残さない程度に鱈腹あたえても、この程度の魚の量では、そうそう pH は下がらないので、もっと魚を入れてみたら?ッて感じ。(笑)
一部で、ブラインシュリンプを与えるとシアノバクテリアが生じやすい、エビを多く含んだエサには燐(リン・P)が多いので出やすい、等と言われているようですが、ブラインシュリンプの塩水を洗い流さないでいると、塩化ナトリウムなどの塩類が多くなり好塩性のシアノバクテリア(アオコ)や藻類が生じやすくなりますが、オキアミを多く含むオリジナルフードを与えている当店やお客様宅で出やすいかといえば、決してそのようなことはありません。むしろ、pH による水質管理(換水ペース)で低pH のメリットを上手に使えているので、『コケが付きだしたと思ったら殺菌灯が切れていた』と言われるぐらいです。


蛍光灯はあまりつけてません。日当りも良くありません。でも藍藻は増えます。pHは6.0位です。
シアノバクテリア自体は、暗闇で生き続けられるものではありませんが、水草達の成長を促進し、健康な植物が出す抗菌物質(フィットンチッド)に溢れる環境でシアノバクテリアや藻類を抑制しうる環境に保つ事がバランスの良い水槽と言えるでしょうから、光を軽視してはなりません。

シアノバクテリアを駆除する場合、pH は、もう少し低くなるようエサやりや換水のペースで調節し、それでも下がらない場合は、ブラックピートで大まかに下げた後、pH マイナスで微調節すると良いでしょう。水草を密植した水槽など、なかなか pH が下がらない場合は、オリジナルpHマイナスを使用し、下げる事にしています。


黒ヒゲはできません。
どの程度の明るさがあるのか分かりませんが、黒ヒゲ状のコケすら生じない明るさで、アヌビアス・ナナやミクロソリウムは(藻類に比べ大きいから)なんとか体力を磨り減らしながら命を繋いでいる状態なのかもしれません。できれば、水草が増えすぎて困る〜、といった状態を維持し、問題の生じにくい環境を保つ事が一番なのではないでしょうか?

黒ヒゲってコレ?


一応、『 房状ゴケ 』としておきます。

バランスの取れた水草密稙レイアウト水槽では、なかなかコケ(藻類)やシアノバクテリアは殖えにくいモノですが、最も貢献しているのは、実は次に挙げるミジンコ達ではないでしょうか?

ケンミジンコ

ミジンコ

ミジンコとクマムシ(?)


これもシアノバクテリア一種かも?


アオミドロ


スポット状藻類(アヌビアス類に付着したりする)


芝状藻類

続く…(・∀・;)


粘菌アメーバ