フェアリーズ流、水草の育て方


90年代の熱帯魚ブームでは、その主役が、間断なく放たれる酸素の気泡をまとった水草達で、その水草を美しくレイアウトしたインテリア水槽がもたらしたモノ、と言えるのではないでしょうか?

それだけ、昨今の水草を取り巻く環境は、ここ十数年で劇的に進化したのも事実です。それまでといえば、『金魚藻(ここでは、カボンバだけでなく複数種)』のような消耗品としての装飾品だったり、一部の愛好家によって楽しまれる程度で、それも現在の密植水槽には及ばないモノでしかなく、様々な試行錯誤が繰り返されていたに過ぎませんでした。

では、何がその環境を好転させたかと問えば、大半の方達は二酸化炭素(CO2)の設備と答えるのではないでしょうか。

確かに、二酸化炭素(CO2)の強制添加(大量添加)を可能にせしめた器具(ハード)の普及が、一つのキッカケであることは間違いありません。と同時に、照明器具の進化や外部パワーフィルターの普及、水草(植物)に対する理解が深まったコトを忘れてはならず、それらがバランス良く高まったこと全てが、水草達を美しく育てるコトを可能にしたのです。植物は、『光』や『水』、『二酸化炭素』、『肥料』のどれ一つとして欠ければ、その成長を止めてしまう、バランスの上に成り立つ生き物だということを忘れてはなりません。(水槽では、温度や蛍光灯の点灯時間なども重要)

水槽セットの項でも触れたように、60レギュラー水槽に20w蛍光灯一本では、二酸化炭素(CO2)の添加は無意味に等しく、二酸化炭素を入れさえすれば水草は育てられる、と吹聴[ふいちょう]する『売れさえすればイイ』販売店では、必要以上の『肥料』を買わされた挙げ句に、コケ(藻類)がつきやすいからと、(せっかく入れた肥料を捨てるに等しい)『無駄な換水』を強[し]いられたりもしてはいませんか?

また、専門誌等に掲載された美しい水槽のデータや設備を鵜呑みにして、高価な設備を全て揃えさえすれば、誰にでも美しい水草水槽が手に入れられるモノでもありません。どんなにスペック(性能)の高いパソコンも、ソフトが入っていなければ(使用、管理が伴わなければ)、ただの箱に等しいのです。

二酸化炭素や『肥料』は"良い状態" を"非常に良い" 状態にする為のモノと言った方が、より適しているのかもしれません。60cm水槽で、20w蛍光管を2〜4灯の環境では、二酸化炭素を添加せずに、多くの種類を育てるのも簡単で、光量の増加と共にその種類も増えるのです。

二酸化炭素の添加は、車のエンジンにターボ等の過給器をつけるようなモノで、より多くの馬力"パワー"を得るため(成長のスピードを上げるため)に、『魚達や微生物の働きで生じる二酸化炭素』だけでなく、余分に二酸化炭素(燃料)を入れ、パワー(光合成)を稼いでいるッてコト?! エンジンに余分な燃料を入れるなら、より多くの空気(水槽では光)を必要とし、燃調(肥料)も取らなきゃなんないし、バルブタイミング等の排気(水換え)も重要になってくるのです。あちゃ〜、女性には解りやすい例えになってないから、ダメだこりゃ?! はずしちゃったかな?まッ、アクアマイスターフェアリーズの入門書ではお馴染みの一人ボケ突っ込みでした…(^−^ ;

コケ (藻類) を退治しようとして、照明の点灯時間を極端に減らす方も少なくないようですが、人間に置き換えれば、運動不足 (光合成不足・老廃物である窒素化合物を吸収する水草の不足) による体重 (コケ )の増加を、ダイエットと称して、食事 (光) を制限しても、脂肪 (コケ) は少なくなるでしょうが、同時に筋肉 (水草) も痩せ、基礎代謝 (光合成) も減るので、太り (コケが付き) やすい体質 (状態) に成ってしまうと言えるでしょう。

しかも、光を制限している間に、与えられたエサによる富栄養化は進んでもいます。ですから、点灯時間を元に戻せば、またコケ(藻類)に悩まされることになり、なんら問題の解決に成りはしないコトに気付かなければなりません。やはり、コケ (藻類) 対策には、(成長の早い) 水草を多く植え、その水草達が活発に光合成をできる環境に近づけることで、水中の (余分な) 栄養塩を少なく保つ必要があり、それが最も効果的でもあるはずです。

水草も多く、その他の条件も十分で、単純に、摂取するカロリー (エサによる栄養塩) が多すぎる場合は、それを減らせば良いのですが、魚達の健康を保つ量を決して下回ってはいけません。まぁ最近は、神経質すぎるほど魚達を少なくしてしまう方達が圧倒的に多く、植物にとって最も大量に必要とされる窒素分すら不足するため、水草の成長は制限されてしまいます。また、園芸用の窒素分を含む肥料を投入し、せっかく添加した養分を捨てるに等しい闇雲な換水で、無駄に労力を費やしていらっしゃったり、効果も期待できない微量を自己満足で入れているに過ぎないのではないでしょうか?その無駄を省く上でも、pHに影響を与えるモノを廃し、pHによる窒素分のコントロールもフェアリーズ流なら可能になるのです。

観賞魚の世界に流通する水草用成長促進剤(植物の必須元素の中で水槽内で不足するモノ)は肥料ではないからダメとする論法のモノもありますが、これも余りに水草に偏重してしまったが故[ゆえ]の結果と言えるでしょう。

余りにも水草に偏重した、闇雲な換水飼育では、魚達を上手に育てられず、水草だけにする、といった極端な発想に至ってしまう方も見受けられますが、静と動が同時に存在し、お互いを引き立て合うからこそ美しい水景が得られるので、ぜひとも闇雲な換水飼育のデメリットに気付いて、考えを改めていただきたいモノです。